「正欲」みんなの感想評価!面白い?つまらない?
本当の多様性を知るために
朝井リョウ氏原作小説の映画化、原作を読んだときに衝撃を受けた、ついにここに焦点をあてた作品が世に出た、と震えたが、それを映像化すると聞いたときは、時代が一歩すすんだ、とまで思った。
「せいよく」と音声で聞くと、多くの人が「性欲」を思い浮かべると思うが、この映画で描かれているのは、人間が、それぞれの個人が個別に感じる自分にとっての正義の欲、である。それは個性であり、他人に侵略されるべきではないはずである。
しかしながら人間は、普通と違うことに自分と違うことに嫌悪を感じ、排除を試みる。それはとても悲しいことであり、ここ数年で叫ばれ続けている「多様性」「ダイバーシティ」はなんなのか、浸透していないのではないか、と悲観してしまう。
この現状におの小説および映画は一石を投じている。小説でも、もちろん映画も多くに人に見てもらいたい。
新垣結衣さんの前半後半での目の輝きの違い、稲垣吾郎さんの排他的視線(ただし最後の表情から改善があるかもしれないと思わせる)が本当に素晴らしい。映画の煽り文句、知らなかった自分には戻れない、決して煽りではないと思う。
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「正欲」の作品情報
基本情報
タイトル | 正欲 |
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読み方 | せいよく |
原作 | 朝井リョウ |
制作会社 | テレビマンユニオン |
上映日 | 2023年11月10日 |
上映時間 | 134分 |
配給 | ビターズ・エンド |
作品概要・あらすじ内容
映画『正欲』は、直木賞作家・朝井リョウの原作を基にした、社会の「普通」とされる価値観に疑問を投げかける群像劇です。稲垣吾郎、新垣結衣、磯村隼人、佐藤寛太、東尾絢香という豪華キャストが演じる、5人の主人公たちの人生が交錯し、予測不能な展開になっています。
主な登場人物として、検察官の寺井啓喜(稲垣吾郎)は、動画配信を志望する息子の将来に悩む一方で、自分の価値観を押し付けてしまう父親像を描いています。
また、夏月(新垣結衣)と佳道(磯村隼人)は、特殊なフェチを共有し、その結束を深めていきます。しかし、その関係は脆くも複雑で、社会の規範から逸脱することの葛藤が描かれています。
この作品は、性的嗜好というデリケートなテーマを扱いつつも、それを通して人間と社会、そして個々人が抱える孤独や苦悩を深く掘り下げています。彼らが直面する困難や、社会との接点を模索する姿は、現代社会の多様性や包容力について考えさせられるものがあります。
映画『正欲』は、単なるエンターテインメントを超えた、社会的なメッセージが込められた作品であり、個々人の「普通」とは何か、そしてそれをどう受け入れ、理解し合うかという点について、観る者に深く考えさせる作品です。